病院や医療機関以外にも、さまざまな分野に広がっている医療福祉の仕事。ほかにも多くの職種のスペシャリストたちが、地域や社会の人々の命や健康を守り、日常生活を支えています。
臨床心理士は日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格で、大学院レベルの高度な専門知識と臨床経験が認定の条件のため、極めて信頼性の高いカウンセラーと言えます。精神的な悩みを抱える人たちの相談相手となり、さまざまな心理療法で心の問題解決を援助する、心理カウンセリングのエキスパートです。
正常にお産できる場合に、主体的に出産を介助します。妊娠中は、安心に分娩できるようアドバイスを行い、異常を発見したら医師に報告します。分娩以外にも、妊婦やその家族の出産や育児に関する相談に乗って指導したり、思春期や更年期の女性への保健指導も行ったりもします。女性にしかなれない職業です。
小、中、高校の児童・生徒が健康に過ごせるよう、けがや病気の対応、健康相談を行うほか、身体測定や予防接種などの保健計画や保健室の管理運営を担当します。最近は学業や友人関係、進学、家庭の悩みを抱えて保健室を訪れる子どもが増えており、心理状態や栄養状態を見守るサポートも行っています。
保育園や児童福祉施設などで働き、食事や睡眠、遊び、トイレなど、子どもが生活するうえで必要なことを身につけ、心身ともに健康になる世話をします。保育園に通園していない子の保護者からの育児相談を受けたり、親子遊び教室を開いたりと、地域に密着した子育て支援活動を行う場合もあります。
介護を必要とする高齢者の相談に応じて、個々のニーズに対応した綿密な介護計画を策定する一方、介護を必要とする高齢者が適切な介護サービスを利用できるように市区町村や介護保険施設などと連絡を取り、介護要員のスケジュール調整などを行います。
救急車に同乗し、病院までの搬送中に心肺停止などの緊急事態が起こったときに、医師の指示のもとで救急救命の処置を行います。医師の具体的指示により、心肺停止患者に対し気道確保や静脈路確保による救命処置、その他除細動や血糖測定などの処置を行いながら、病院などの医療機関に速やかに搬送します。
事故や病気などで体の一部が失われた人のために、医師の指示で装着部位の型を取り、義足や義手、歩くための装具(コルセットなど)を作る専門家です。患者さんの機能を回復させるためのアフターケアも重要で、リハビリテーションの知識や技能に加え、患者さんの思いをくみ取るコミュニケーション能力も欠かせません。
人工呼吸器、血液透析装置、人工心肺装置、体外式心臓ペースメーカーなど、患者さんの生命や健康を直接的に左右する機器の操作や保守点検を行います。医学的知識はもちろん、高い工学知識や技能も求められます。主に病院の手術室や集中治療室、救急救命センターで患者さんの生命を支えています。
診断書や処方せんの作成、電子カルテの代行入力など、医師の指示のもとで医師に代わって事務作業を行います。医師の業務負担を軽減し医師が患者さんと向き合う時間を増やすことで、患者さんの満足度アップや医療の質の向上を図れます。「チーム医療・チームケア」や病院経営にも貢献でき、採用する医療機関が増えています。
障害者スポーツは、健常者のスポーツと比べ医学的、心理学的効果との関連性、または事故防止の方法などについて、特別の配慮を行う必要があります。障害を持つ方の健康や安全に配慮した指導を行いながら、スポーツの喜びや楽しさを伝え、障害者スポーツの振興に寄与します。
高齢者や障害を持つ方に対し、できるだけ自立して、いきいきと自分らしく生活できるように、住環境を提案するアドバイザーです。「医療」「福祉」「建築」について体系的に幅広い知識を身につけ、各種の専門家と連携をとりながら、適切な住宅改修プランを提示します。
がんなどの悪性細胞の発見においてきわめて重要な検査法のひとつが細胞診です。人体からいろいろな方法で採取された細胞をガラスに塗抹して染色後、それを顕微鏡でスクリーニングし、異常細胞を捉える仕事です。正確な判断と高い知識が要求され、臨床検査技師のなかで病理検査分野の専門職にあたります。
児童福祉司は、児童相談所と呼ばれる公的機関の職員です。心身の障害、家庭の不和、非行などの問題を抱え、福祉の手を必要としている子どもたちに対し、生活環境の調査をはじめ、子どもや保護者からの話を聞き、医師や児童心理司などの専門家の協力を得て適切な対策を立て、立ち直れるように援助します。
児童養護施設などで、子どもたちが心身ともに健やかに成長できるサポートをします。施設内の保育士や児童相談所、学校などと連携し、子どもたち一人ひとりの年齢や能力に応じた生活が送れる環境づくりを行い、しつけや学習指導、生活上のアドバイスをして、社会に巣立つ手助けをします。
福祉事務所や公立の福祉施設などの公的機関で働く、ケースワーカーと呼ばれる福祉の仕事に携わる公務員です。児童、障害者、高齢者、母子家庭、貧困で困っている人など、福祉による支援や保護を必要としている人たちをサポートします。相談や援助の申請を受け付けたり、相談者の状況把握や定期的な家庭訪問などを行ったりします。
病院や保健所、学校などの集団給食施設で、栄養指導・管理を行います。病院では入院患者さんの病状に応じた献立の作成や、健康増進のための栄養指導を行います。また、運動選手の能力を高める食事のアドバイス、地域住民の健康づくり、児童福祉での食と健康の土台作りなど、幅広い年齢層の健康を支えます。
外来受付、医事会計、入退院事務など、病院フロントの中核的な業務を担当する仕事です。また、診療部門では、臨床所見に関する文書作成や電子カルテ入力など、医師の業務を補助できる高度な専門知識と技能を備えたスペシャリストとして活躍します。
ほかにも医療や福祉を担う職種は多岐にわたります。たとえば、企業や医療機関の衛生を管理する衛生管理者や、歯科技工士、柔道整復師、鍼灸師、また、手話通訳士や音楽療法士など、さまざまな分野のエキスパートが活躍しています。